高木健太郎第9・10期日本学術会議員の要請により、黒野保三事務局長は日本学術会議、文部省の方々に、鍼灸医学、鍼灸師の現状と将来についての説明のために日本学術会議室に行き、鍼灸医学の高度教育の必要性と鍼灸師は鍼灸医師であることを提唱し、このことが鍼灸大学設置の引き金となった。
すなわち、鍼灸師は鍼灸医学理論の診断学に基づいて診断し鍼灸を用いて治療を行っている。これは明らかに医療行為である。したがって鍼灸師は鍼灸医師であることを強調した。
そこで医師(医療全般)、歯科医師(口腔内の医療に限定された医師)、獣医師(人以外の動物に限定された医師)であることを説明し、教育制度の改善の資料を提出した。
これを契機として<中国医学>ワーキンググループの開催となる。
「鍼灸医師の教育制度私案」
日本鍼灸医学会常務理事 事務局長 黒野保三
鍼灸師は、古来より伝承されている鍼灸医学理論に基づき診断し治療を行うもので明らかに医師行為である。
わが国には、医師・歯科医師・獣医師があるが、鍼灸師を鍼灸医師として位置付けることを提案する。
医師は医療全般を行なう医師、歯科医師は人体の口腔内に限り医療を行う医師、獣医師は人以外の動物の医療を行う医師、鍼灸医師は東洋医学の理論に基づく治療法に限り医療を行う医師と制定されるべきである。
鍼師、灸師、マッサージ師、按摩・指圧師の現行法から鍼、灸を分離し鍼灸医師とする。
鍼灸医師の教育模式図
鍼灸医師
↑
国家試験
↑
6年生大学
(視力障害者も可)
マッサージ師は、医療技師とし開業権を与えない。
マッサージ師の教育模式図
マッサージ師
↑
国家試験
↑
4年生大学
(視力障害者も可)
按摩・指圧師は原則として視力障害者の福祉事業とし開業権を認め、睛眼者には資格を認めない。
按摩・指圧師の教育模式図
按摩・指圧師
↑
盲学校高校教育
昭和51年6月18日
<中国医学>ワーキンググループが東京慈恵会医科大学高木会館A会議室において開催され<東洋医学の研究教育体制の確立について(申し入れ)>が決議された。
出席者は
久保 全雄 新日本医師協会幹事長
名取 禮二 東京慈恵会医科大学長
高木健太郎 名古屋市立大学長
山村 秀夫 東京大学医学部教授
山下九三夫 国立病院医療センター麻酔科医長
谷口 健蔵 明治東洋医学院理事長
竹之内診佐夫 東洋院院長
黒野 保三 東洋医学研究所所長
の8名であった。
昭和52年4月28日
日本鍼灸医学会が日本学術会議の第7部会(医学部門)のメンバーとなった。このことにより鍼灸医学は医学として認められたのである。
昭和52年4月28日付けにて日本鍼灸医学会が日本学術会議の登録学協会として承認された書類
昭和52年10月28日
日本学術会議第73回総会最終日に、第7部より≪東洋医学の研究教育体制の確立について(申し入れ)≫と題する懸案(先に≪中国医学≫ワーキンググループ会議で決議されたもの)が提出され、審議の結果採択された。この懸案は昭和52年12月14日日本学術会議室において開催される≪日本学術会議と学協会との懇談会≫の終了後文部省に提出されることになった。
日本学術会議越智勇一会長より福田赳夫内閣総理大臣に提出された東洋医学の研究教育体制の確立について(申入れ)書類
昭和53年3月5日
名古屋市立大学付属病院5階第2会議室にて開催された日本鍼灸医学会愛知地方会評議員会において、過去41回にわたり開催してきた研修会を、新年度より基礎医学講習会と改称して、会員の学力向上を目的に学問的充実の方向に進めてゆくことが決議された。
解剖学 100単位
生理学 100単位
診断学 100単位
毎月第1日曜日 午後1時~5時まで
7月、8月は毎日曜日 午前9時30分~午後4時30分まで
3年間に亘り300単位数を学ぶ
昭和53年6月17日
京都産業会館にて開催された第27回日本鍼灸医学会学術総会において、日本鍼灸医学会創立30周年を記念し、学会の発展と学術の高揚にご尽力された諸先生方に高木健太郎会長より表彰状・感謝状が授与された。
愛知地方会会員の表彰者
表彰状
青地 修、奥田冨男、黒野保三、堀田 健、渡 仲三(敬称略)
日本鍼灸医学会創立30周年を記念して授与された表彰状
感謝状
阿部輝雄、石川八三、石神龍代、岩田 明、采女 稔、宇佐美男惇、蟹江 勝、 金井美晴、河合雅人、熊崎勝馬、田中法一、所 集次、服部武生、堀 茂、 森 一彦
昭和54年4月26日
東洋医学の研究教育体制の確立についての目的達成の報告懇談会がパレスホテル2階「百合の間」において行われ、黒野保三事務局長らが出席し、名取禮二東京慈恵医科大学長・日本学術会議副会長よりお礼の言葉を頂いた。
黒野保三事務局長に届いた東洋医学教育懇親会開催の案内状
昭和54年8月22日
東洋医学研究財団付属鍼灸院開院
東洋医学研究財団の臨床研究の場として東洋医学研究財団付属鍼灸院が名古屋市中区栄第一生命ビルSLドクターグループの鍼灸科として開院され、そのスタッフとして愛知地方会の諸先生方が協力した。
東洋医学研究財団は、その頃日中との国交が回復し、にわかに脚光をあびた東洋医学の確実な進歩発展、一般医療への参加に必要不可欠である東洋医学の科学的、基礎的、臨床的研究を推進するために財政的援助・助成を与える機関として、高木健太郎先生の呼びかけに賛同した愛知県・名古屋市・名古屋財界の資金により、愛知県より昭和52年5月10日にその設立を許可され、加藤乙三郎中部電力株式会社相談役が初代の理事長に就任され、高木健太郎名古屋市立大学長が副理事長に就任され、官僚、財界、学者によって理事会が構成された財団である。
東洋医学研究財団付属鍼灸院は、東西両医学の協調により患者によりよい診療を行う目的で、内科、外科、耳鼻科、眼科、整形外科、産婦人科等で構成されているSLドクターグループの中に鍼灸科として開院された。
また、西洋医学各科と鍼灸科がどの程度対応ができるか、どのように対応すべきか、西洋医学の各科の医師と鍼灸師が鍼灸医師としての自覚の上に立ってどの程度対応できるか等を試みる目的も含まれていた。現在まで24年間が経過したが、東西両医学の協調はまさしく理想通りに行われて現在に至っている。
東洋医学研究財団付属鍼灸院当初のスタッフは、顧問として高木健太郎先生(名古屋市立大学長・愛知地方会顧問)、青地修先生(名古屋市立大学医学部教授・愛知地方会顧問)、渡仲三先生(名古屋市立大学医学部教授・愛知地方会会長)、院長黒野保三先生(愛知地方会副会長)、副院長石神龍代先生(愛知地方会組織副部長)、常勤として吉川正剛先生(愛知地方会会員)、神谷道彦先生、非常勤として奥田冨男先生(愛知地方会監事)、蟹江勝先生(愛知地方会総務部長)、采女稔先生(日本鍼灸医学会評議員)、松原光男先生(名古屋鍼灸師会副会長)の合計11名で構成されていた。
昭和55年4月1日
日本鍼灸医学会と日本鍼灸治療学会が一つとなり、社団法人全日本鍼灸学会として文部省より認可された。
社団法人設立に際して、昭和52年5月14日に開催された第26回日本鍼灸医学会総会において、日本鍼灸医学会の社団法人化の推進が決議されて以来、黒野保三事務局長と奥田冨雄経理部長が30数回にわたり文部省を訪れ、鋭意法人化を進めてきたが、最終的に日本鍼灸治療学会との合同により法人の認可をするという文部省の勧めにより、日本鍼灸医学会の谷口健蔵、黒野保三、竹之内診佐夫、日本鍼灸治療学会の黒須幸男、出端昭男、山下健の6先生により話し合いの結果合意を得て認可が得られたものである。(実務を黒野保三事務局長と奥田冨男経理部長が行い、設立基本金は谷口健蔵常務理事が出資した。)
「社団法人全日本鍼灸学会設立の経緯と概要」
日本鍼灸医学会事務局長 黒野保三
国内の鍼灸医学研究を志す学兄諸氏が長年の念願でありました法人学会の設立が昭和55年4月1日付けをもって谷垣専一文部大臣より、社団法人全日本鍼灸学会と称して設立の認可がおりたのであります。
このことは、昭和53年2月に明治鍼灸短期大学が設立されましたが、これと相俟って、鍼灸術から“鍼灸医学”へと、国家レベルにおいてその価値が認識される事になったのであり、誠にご同慶にたえません。
この法人設立にともない会員諸氏の一層のご理解とご協力をいただくために簡単ではございますが、これまでの経緯と概要を述べさせて頂きます。
過去数年来、各鍼灸医学に関する研究会が、各々の立場から法人化を望み、その方向に努力されてきました。
日本鍼灸医学会も去る昭和50年3月9日に明治東洋医学院において開催されました臨時総会で、今後の鍼灸医学の研究を推し進めるためには、医学研究者や医師と鍼灸師が協力して鍼灸医学研究をしなければ真の鍼灸医学の向上は望めないという目的で、日本鍼灸学会を日本鍼灸医学会と名称変更をし、合せて、国家機関や諸外国との交流の窓口とする目的のために、社団法人化の旗揚げを致しました。
しかし、当時の文部省における見解では、鍼灸は学問として認めがたく、いわんや、鍼灸医学として取り上げるには、あまりにも問題が多過ぎるとの理由によりまして放置されてしまったのであります。また文部省に対し日本鍼灸医学会の法人化を妨害するような行為も加わり益々法人化の推進にブレーキがかけられたのでございます。会長はじめ役員は前述のような文部省の態度や妨害に屈することなく一つ一つ難問を解決しながら再三再四法人化の推進に努力をしてまいりました。
一方では、たとえ文部省の法人認可が得られないとしても、国内における諸学会との交流を深め、もし各会が賛成して下さるならば鍼灸医学研究の統一した土俵の場を作ることを目的として、日本鍼灸治療学会に呼びかけて、連合設立に関する懇談会を昭和52年に東京で開きました。また昭和52年に名古屋で開催されました第26回日本鍼灸医学会学術総会の前日には国内の主だった学協会10団体に出席を求め懇談会も開きました。このように紆余曲折をしながら一歩一歩着実に法人化を進めていったのであります。
上述のような私たちの努力と情熱が文部省に認められ、昭和53年9月に役員の過半数を医学者にすることと、30名の役員を20名に減らすという条件付きで、法人設立にともなう手続きの指導が受けられるようになったのであります。そして、昭和54年度の役員改選期に、会長や選考委員は断腸の思いで役員の選考を行い、理事会と評議員総会において議決されたものであります。その後文部省との折衝も順調に進み、いよいよ昭和54年9月末日までに法人設立の認可が下りるという内報のもとに事前協議を進めておりました。はからずも昭和54年9月に日本鍼灸治療学会も社団法人化に関する書類を提出したのであります。
文部省は再び日本鍼灸医学会に対する法人化に難色を示したのであります。日本鍼灸医学会としては、過去、文部省に通うこと30数回、それに伴う交通費、人件費、資料の収集等を合わせますと莫大な損失であることを訴え、両学会とも法人化を認め、優先的に日本鍼灸医学会の法人化を認めるよう要請したものであります。これに対して文部省の解答は両学会が統合一体化することが望ましいとの意見が出されたのであります。そこで、昭和54年10月6日常務理事会を開き種々検討致しました結果「両学会が統合一体化することは将来の鍼灸医学の発展に大いに寄与することであり国内における鍼灸医学研究を志す諸兄の熱望するところであろう」との意見で一致し、文部省に解答すると共に、日本鍼灸治療学会山村秀夫会長に対し、日本鍼灸医学会高木健太郎会長が統合の意義などを伝え、呼びかけたものであります。そして、両学会とも統合一体化することは元来の理想であり、それを実現することは、国内における鍼灸医学に関心を持つ人々の百年河清を待つ思いであるとの一致点に達し、昭和54年12月12日治療学会側から黒須幸男先生、出端昭男先生、山下健先生の3名と、医学会から谷口健蔵先生、竹之内診佐夫先生と私の3名、計6名が代表に選ばれ、社団法人設立準備会を開きました。そして設立代表者に日本鍼灸医学会会長高木健太郎先生を選出致しました。そして、下記のような重要事項の原案を作成致しました。
記
1.名 称 社団法人全日本鍼灸学会
2.事務所 東京都豊島区南大塚3丁目44―14
3.定 款
4.役 員
イ.日本鍼灸医学会 9名
ロ.日本鍼灸治療学会 10名
ハ.両学会以外の4学会 4名
合計23名
5.役員及び財産と運営について
イ.日本鍼灸医学会
・法人設立認可のあった日から社団法人全日本鍼灸学会と名称変更する。
・財産のすべては、法人学会に寄付する。
・会員はそのまま法人学会の会員となれる。
・法人学会の運営は、昭和55年5月17日に開催される学術総会終了まで、旧日本
鍼灸医学会の役員により運営し、学術総会終了後は新役員により運営をする。
ロ.日本鍼灸治療学会
・昭和55年10月18日に開催される学術総会において解散し、法人学会と正式に統
合する。
・会員はそのまま法人学会の会員になれる。
以上を両学会の理事会及び評議員総会にはかりつつ、文部省の指導に基づいて、去る昭和55年3月6日に文部省に法人設立の申請書類を提出致しました。そして、文部省より昭和55年4月1日付けをもって、“社団法人全日本鍼灸学会”の設立許可がおりたのでございます。
以上、概要を述べましたが誠に不十分であろうと思いますが、あしからずお許し下さいますようお願い申し上げます。また、法人設立に際しましても、不行届きの点が多々ございますが、社団法人設立許可に免じて、併せてお許し頂きたいと願うものであります。
(自律神経雑誌第27巻1号より転載)
第31回社団法人全日本鍼灸学会学術大会(法人設立記念大会概要)
昭和56年4月5日
東洋医学研究財団主催、愛知地方会協賛の「東洋医学に関する助成研究報告会」が中日文化センターにおいて開催された。この報告会は一般公開であり、多数の参加者があった。
《演題及び講師》
(敬称略)
特別講演
「東洋医学の現状と将来」 名古屋市立大学名誉教授 高木健太郎
「鍼麻酔による歯痛抑制の中枢神経機序の研究」 愛知学院大学歯学部生理学教授 佐藤豊彦
「薬用植物の栽培および品種改良に関する研究」 名古屋市立大学薬学部生薬学教授 萩原幸夫
「月経困難症のハリ治療」 産婦人科加世木病院院長 加世木辰夫
「脈波の定量的分析-コンピューターによる周波数分析-」 名古屋市立大学医学部第一生理学助手 長谷川泰洋
「神経伝達物質の放出に及ぼすエンケファリンの作用について」 名古屋市立大学医学部第一生化学助手 都築紀宏
「鍼灸効果の作用機序-その求心性機序に関する研究-」 名古屋大学医学第一生理学助教授 熊澤孝朗
「鍼刺激の生体免疫系に与える効果」 名古屋市立大学病院輸血部助教授 松本美富士
東洋医学助成研究報告をする名古屋大学医学部第一生理学熊澤孝朗助教授
東洋医学助成研究報告会は広く一般市民に公開されている
昭和57年4月4日
名古屋市立大学医学部第一臨床講義室にて開催された昭和57年度総会において、昭和53年4月より3年計画で実施された基礎医学講習会(第4~第6回夏期大学基礎医学講座を含む)修了者に対して、渡仲三会長より表彰状と記念品が授与された。
基礎医学講習会修了者に授与された表彰状
基礎医学講習会修了者に授与された記念品
昭和58年4月3日
愛知地方会に基礎的な病態の把握と臨床面での鍼灸治療の効果を統一カルテを使用して客観的に把握していくための研究部が新設された。
慢性肝機能障害班 班長 黒野保三
頭鍼療法班 班長 田中法一
腰痛班 班長 三宅 弘
古典鍼灸班 班長 石神龍代
膝痛班 班長 今井正行
高血圧症班 班長 蟹江 勝
耳鍼療法班 班長 高田直路
7研究班が毎月一回研究日を設けて研究活動を行うことになった。また、毎月第一土曜日午後8時30分から11時まで、愛知地方会事務局(東洋医学研究所)において研究班班長会を開催してゆくことになった。
平成3年2月10日
平成3年2月10日から3年間にわたり、昭和63年5月31日の法改正により「はり師、きゅう師、あん摩・マッサージ・指圧師免許」の知事免許が厚生大臣免許になったことによる再教育事業の一環として、全国一斉に「厚生大臣指定講習会」が開催された。愛知県における第1回、第2回厚生大臣指定講習会は名古屋市立大学医学部図書館講堂において開催されたが、そのカリキュラムに対する時間割の設定・講師の人選とその依頼、会場の確保および設営に関して、愛知地方会名誉会長(当時副会長)黒野保三先生が尽力、協力された。
厚生大臣指定講習会時間割表
愛知県講習会実施協議会 | |||||
9:00~10:30 | 10:40~12:10 | 13:00~14:30 | 14:40~16:10 | ||
10月10日 (祝) |
医学概論 名古屋市立大学 名誉教授 青地 修 |
臨床医学概論 名古屋大学医療技術短期大学部 助教授 辻井洋一郎 |
リハビリテーション医学 名古屋大学医療技術短期大学部 助教授 辻井洋一郎 |
リハビリテーション医学 名古屋大学医療技術短期大学部 助教授 辻井洋一郎 |
|
10月13日 (日) |
生理学 名古屋大学環境医学研究所 助教授 水村和枝 |
生理学 名古屋大学環境医学研究所 助教授 水村和枝 |
生理学 名古屋大学環境医学研究所 助手 佐藤 純 |
生理学 名古屋大学環境医学研究所 助手 佐藤 純 |
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10月27日 (日) |
(はき)東洋医学臨床論 名古屋市医師会 理事 石黒順造 |
(あ)東洋医学臨床論 名古屋市医師会 理事 石黒順造 |
(あ)東洋医学臨床論 愛知県立名古屋盲学校 教諭 中村 進 |
(あ)東洋医学臨床論 愛知県立名古屋盲学校 教諭 中村 進 |
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11月10日 (日) |
衛生学・公衆衛生学 港保健所 所長 佐藤 亘 |
衛生学・公衆衛生学 港保健所 所長 佐藤 亘 |
病理学概論 名古屋市立大学病理学 教授 栄本忠昭 |
病理学概論 名古屋市立大学病理学 教授 栄本忠昭 |
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11月23日 (祝) |
(はき)東洋医学臨床論 中和鍼灸専門学校 教頭 鈴木武志 |
(はき)東洋医学臨床論 中和鍼灸専門学校 教頭 鈴木武志 |
(はき)東洋医学臨床論 中和鍼灸専門学校 校長 大島桂太 |
臨床医学総論・各論 名古屋市立大学医学部 第二内科助手 三竹重久 |
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11月24日 (日) |
臨床医学総論・各論 名古屋市立大学医学部 第三内科講師 竹内 聡 |
解剖学 名古屋市立大学医学部 第一解剖学教授 渡 仲三 |
解剖学 名古屋市立大学医学部 第一解剖学教授 渡 仲三 |
解剖学 名古屋市立大学医学部 第一解剖学教授 渡 仲三 |
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12月8日 (日) |
臨床医学総論・各論 名古屋市立大学医学部 麻酔学助教授 津田喬子 |
臨床医学総論・各論 名古屋市立大学医学部 麻酔学助教授 津田喬子 |
(はき)理論 名古屋市立大学医学部 輸血部助教授 松本美富士 |
(はき)理論 名古屋市立大学医学部 輸血部助教授 松本美富士 |
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12月22日 (日) |
(あ)東洋医学臨床論 愛知医科大学整形外科 教授 丹羽滋郎 |
(あ)東洋医学臨床論 愛知医科大学整形外科 教授 丹羽滋郎 |
(はき)東洋医学概論 名古屋市立大学医学部 研究員 石神龍代 |
(はき)東洋医学概論 名古屋市立大学医学部 研究員 石神龍代 |
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12月23日 (祝) |
(はき)東洋医学概論 名古屋市立大学医学部 研究員 石神龍代 |
(はき)東洋医学概論 名古屋市立大学医学部 研究員 石神龍代 |
臨床医学総論・各論 中和鍼灸専門学校 校長 大島桂太 |
平成5年8月22日
愛知地方会会長所集次先生勲五等瑞宝章受章記念祝賀会が名古屋観光ホテル「那古の間」において開催された。愛知地方会名誉会長黒野保三先生が実行委員長を任められ、愛知地方会役員は受付係を担当した。
平成5年9月25日
(社)全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班班長黒野保三先生等の研究論文「不定愁訴症候群に対する鍼灸治療の検討」が、第17回代田賞奨励賞を受賞した。
ここに受賞論文の要旨を掲載する。
「不定愁訴症候群に対する鍼灸治療の検討」
(社)全日本鍼灸学会研究委員会不定愁訴班
黒野保三,石神龍代,皆川宗徳
要 旨
近年、社会構成が複雑多岐になり、現代はストレス社会といわれるようになってきた。そして、いわゆる不定愁訴を訴える人が多くなり、これ等の人々が鍼灸院を訪れるケースが増加しつつある。
そこで、筆者は鍼灸診療を行う者は誰でも研究活動に参加でき独自に研究ができることをふまえて不定愁訴症候群に対する鍼灸治療の有効性を実証医学的に見出すことを目的として、昭和61年10月26日(社)全日本鍼灸学会研究委員会に不定愁訴班を新設し、健康チェック表の作成と重症度判定基準及び効果判定基準の作成を行った。
今回作成した健康チェック表は、無徴候・有訴群患者の自覚症状、CMI(コーネル大学健康調査表)、CMI阿部変法、CMI馬島変法、関西労災式うつ状態調査表、SRQ-D(抑うつ尺度)、SDS(自己評価式抑うつ尺度)等を総合的に検討し、再現性、妥当性、項目数の必要性について統計学的処理をし検討を加えたものである。したがって初診時に患者の状態が自律神経失調性、神経症性、うつ状態性、その他に層別して把握できるとともに、鍼灸治療によりどの項目に対しどのような効果があったのかを統計学的に検討することができる。故にこの健康チェック表を指標として不定愁訴症候群に対する鍼灸治療の有効性を定量的に見出すことができ、種々統計処理を行い、不定愁訴症候群に対する鍼灸治療の有効性を多角的に検討し、研究していくことも可能であるといえる。
平成5年11月20日~11月23日
11月20日(土)から11月23日(祝)までの4日間に亘り、錦秋の古都・国立京都国際会館において、中国の鍼麻酔以来、人類の健康保持のためにその有用性が世界的にクローズアップされてきた鍼灸医学の国際的な協力・研鑽をはかるため、世界保健機関(WHO)の協力のもと、故高木健太郎先生を設立準備委員長として世界各国の鍼灸学会の協力によって、1987年に設立された世界鍼灸学会連合会(WFAS)の第3回世界鍼灸学術大会が「21世紀への鍼灸医学」をテーマに、38ヵ国3地域から3454名の参加者を得て、社団法人全日本鍼灸学会の主催で盛会裡に開催された。
開催にあたって、副組織委員長として黒野保三先生、財務局長として奥田冨男先生、学術委員長として渡仲三先生が尽力され、愛知地方会からは23題の研究が発表され、多くの会員が参加した。
世界鍼灸学会連合会第3回世界鍼灸学術大会
(社)全日本鍼灸学会愛知地方会発表者リスト
11月21日 | |||
1 | 黒川勝治 | ビデオ発表 | Bi-Digital O-Ring Testによる胃経の研究 |
2 | 松本美富士 | 一般口演 | 鍼刺激のヒト免疫機能への効果 |
3 | 中村弘典 | 一般口演 | 糖尿病の合併症に対する鍼治療 |
11月22日 | |||
4 | 皆川宗徳 | 一般口演 | 健康チェック表の作成について |
5 | 石神龍代 | 一般口演 | 不定愁訴に対する鍼治療の検討 |
6 | 田中良和 | 一般口演 | 不定愁訴に対する鍼治療の一症例(1) |
7 | 福田裕康 | 一般口演 | 不定愁訴に対する鍼治療の一症例(2) |
8 | 海沼英祐 | 一般口演 | 生体の防御機構と鍼灸医学「古典と臨床との関連」 |
9 | 服部輝男 | 一般口演 | 極小未熟児に対する鍼治療の一症例 |
10 | 狩野義広 | 一般口演 | 膵臓・肝臓組織の老化に対する鍼の効果の超微形態学的研究 |
11 | 山田鑑照 | 一般口演 | 経穴の組織学的研究 |
12 | 田中法一 | ポスター発表 | 頭鍼療法による左坐骨神経痛の一症例 |
11月23日 | |||
13 | 山田 耕 | 一般口演 | AMI(経絡機能測定器)と脉診との対応 |
14 | 平松英敬 | 一般口演 | 経絡治療における誤治症例の報告 |
15 | 河瀬美之 | 一般口演 | 高血圧患者に対する鍼治療の検討 |
16 | 丸山善己 | 一般口演 | 仮性近視に対する鍼治療の検討 |
17 | 黒野保三 | 一般口演 | 慢性疲労症候群に対する鍼治療の検討 |
18 | 黒川勝治 | ポスター発表 | Bi-Digital O-Ring Testによる乳汁分泌不全に対する鍼治療の2症例 |
19 | 牧 仁子 | ポスター発表 | 五行の色体表(五味・五志・五労)と脉診との関連性について |
20 | 二本柳賢司 | 一般口演 | 金イオンは骨格筋線維収縮を引き起こす |
21 | 甲田久士 | 一般口演 | ポリモーダル受容器活動の増強に関わるプロスタグランディンE2受容体 |
22 | 絹田 章 | 一般口演 | 脱肛(内痔核性)の鍼灸治療について |
平成6年4月7日~5月31日
愛知地方会の活動の充実・啓蒙・会員の増強を目的に愛知県下の鍼灸医学関連領域の人を対象にアンケート調査を行った。
ここでアンケート調査結果の総括を掲載する。
アンケート調査結果によせて
(社)全日本鍼灸学会愛知地方会会長 奥田冨男
(社)全日本鍼灸学会愛知地方会では活動の充実・啓蒙・会員の増強を目的に平成6年4月7日~5月31日までの期間に(社)全日本鍼灸学会愛知地方会会員、(社)愛知県鍼灸マッサージ師会会員及び中和鍼灸専門学校・名古屋鍼灸学校の教員に対してアンケート調査を実施致しました。
その結果、学会を支援して下さる方が多くあり、地方会長としても心強く感じられました。しかし、尚一部の人に昔の鍼灸治療学会と混同している方や学会を知らない方(現に会員として入会している方は別として)もありました。本会も22年経過しておりますが、もっと学会の啓蒙を活発にする必要があると思います。そして学会の内容も多角的に充実して行かねばならないと思いました。
「業団と学会の違いが解らない。鍼灸界は複雑だ」と云う意見が一番多くありました。従ってこの問題を充分検討し、学会員や鍼灸界に詳しく説明しアピールしていかなくてはならないと感じました。そして、学会と業団は各々の専門分野を明らかにすると共に、協調し、分業していかなければならないことを痛感しました。
学会員に対しては月1回定例講習会を開催したり、又、生涯教育制度を設けて点数制を採用して点数によって表彰状を授与しております。
なお、研究班活動として7つの研究班を設け、毎月1回研究班活動を行っております。他に年1回の中部ブロック学術集会及び全国の学術大会等も開催されておりますので出来る限り参加して頂きたいと考えております。
このようなことを会員一人一人がアピールして、一人でも多くの友人を勧誘して学会の発展と会の充実と会員の資質向上を図るよう努力して頂きたいと思います。
調査結果を踏まえた各部の見解をまとめましたので報告させて頂きます。
(社)全日本鍼灸学会愛知地方会総務部長 中村弘典
今回、アンケート調査を行った結果から、鍼灸師自身鍼灸師としての正しい姿勢や目的がはっきりしていないことが明確となった。例えば何を目的に学会に入る必要があるのかわからない人や学会と鍼灸師会との相違がまったく理解されていない回答が目立った。このことは、鍼灸界が言葉のすり替えや、会員に対して曖昧な情報により正当化しようとしてきたことが原因になっているものと考えられる。
このようなことから、「鉄は熱いうちに打て」という諺通り、特に今後の鍼灸界を担う若い鍼灸師並びに学生に対し、学会の目的や必要性を十分理解してもらう必要があると思う。
そこで、今後は我々会員が学会人としての姿勢を正し、行動することが大切であろう。それに賛同する若い会員を増やすように努力したい。そして鍼灸界をリードしてゆくために、現在の鍼灸界の体質にとらわれることなく、レベルの高い学会を目指し、一般社会に鍼灸治療の有効性をアピールできるような魅力ある学会にしてゆきたい。
(社)全日本鍼灸学会愛知地方会教育部長 服部輝男
今回実施されたアンケート調査の結果をふまえていち早く教育内容の充実、学生諸氏に対する案内の充実など幅広く活用させて頂いている。
鍼灸界においては「資質の向上・資質の向上」とお題目のように叫ばれているが、何らその成果や具体案も出ていないのが現状である。
しかし、(社)全日本鍼灸学会愛知地方会名誉会長黒野保三先生はすでに下図の如くピラミッド型構想を発表され、具体的な資質の向上について実行されている。
それは、鍼灸師として最も重要な人間性を土台に、はり・きゅうを扱う技能、この技能を最も有効に発揮できる技術、更に効率よく診療を行うための知識というように重要度順に積み上げられた理論で、これが理想とされる鍼灸師像であると唱えておられる。
そこで、教育部としては、鍼灸診療に必要な技術・技能の実技、知識として基礎医学・古典鍼灸学・症例検討会を実施し成果あげてきた。今後は鍼灸医療の医療人として必要な人間性についての講義時間を持ち、鍼灸師自身の人間性の構築と資質の向上をはかり、しいては鍼灸界全体の地位の向上の一助となるべく企画し、展開していきたいと考えている。
(愛知地方会会報第10号より転載)
資料提供:黒野保三先生