愛知地方会設立20周年記念式典並びに講演会が名古屋市立大学医学部図書館講堂において開催された
(社)全日本鍼灸学会愛知地方会
設立20周年記念式典並びに講演会概要
主催:(社)全日本鍼灸学会愛知地方会
後援:(社)愛知県鍼灸師会・中和鍼灸専門学校・経絡治療学会東海支部
協力:(社)全日本鍼灸学会岐阜地方会・(社)全日本鍼灸学会三重地方会
(社)岐阜県鍼灸師会・(社)三重県鍼灸師会
日 時:平成4年3月1日(日)午後1時~5時
場所:名古屋市立大学医学部図書館講堂
〒467 名古屋市瑞穂区川澄1(052-851-5511)
内容
記念式典
司会 愛知地方会総務部長 奥田 冨男 先生
一.物故者に対する黙祷
一.開会の辞 愛知地方会監事 筒井 眞 先生
一.会長挨拶 愛知地方会会長 所 集次 先生
「設立20周年記念、20年ということは成人になります。成人はまだ可能性があるということでございます。更にこれから20年30年と益々鍼灸の学術の向上に向けて成長して頂くことを祈念致しまして、本日のお祝いの言葉と致します。ありがとうございました。」
一.来賓挨拶
(社)全日本鍼灸学会総務部長 黒野 保三 先生
「本日は会長の山村秀夫先生がご出席になられ親しく皆様に挨拶すべきところでございますが、本日は来年日本で行われます第3回世界鍼灸学会連合会学術大会の組織委員会が丁度1時から3時まで京都で行われております。そんなことで会頭が山村先生でございますので本日はこちらの方には出向けられないということで代理としてご挨拶をさせて頂きたいと思います。(社)全日本鍼灸学会愛知地方会設立20周年記念誠におめでとうございます。
こんなことを私が言いますと非常に話がしにくうございますので実行委員長としてご挨拶をさせて頂ければありがたいと斯様に思います。
愛知地方会が設立を致しましてようやく20年を迎えることができました。過去20年の間、色々な行事や内容の充実を図って発展して参ったのでございます。これもひとえに愛知県の各学協会また関係各位のご協力とご後援の賜物と心より感謝申し上げます。先程会長が申されましたように、20年の成人を迎えたのでございます。これからは新しい企画で新しい発展を遂げなければならない時期にきているのではなかろうかと思います。過去、鍼灸の位置付けとか、それから21世紀に生き残る鍼灸師とか、また鍼灸師のメリットだとか色々言われて久しいのでございます。これは非常に我々にとりまして、どれひとつとして外すことのできない大切な事であろうと思います。しかし、これからの時代は今まで言われていた方向ではいけないのではなかろうかと思うのでございます。そこで視点を少しずらしてつらつら眺めてみますに、一体鍼灸診療というものは誰のものなのかと考えますと、鍼灸診療は我々のためにあるのではなくて、国民のためにあるのでございます。たまたま私たちはそれを業とする資格を得られたにすぎないと思うのでございます。またこの職業はいわゆる非常に高度な知的専門職であると言えるのでございます。要するに、患者を診断し、治療をするということは立派な診療であります。したがって非常に高度な職業であります。
そこで私は「我々は鍼灸医師である」という自覚が必要であろうと思います。高度な知的専門職である以上、私達は鍼灸医師というひとつの自負を持ってそして学問の研鑽と技術の練磨に励まなければならないと斯様に考える次第でございます。会員の先生方もどうかそういう自負を持って私達と一緒に歩んで頂きたいと思います。
今後の愛知地方会の行き方と致しましては、先程のことを踏まえて新しい鍼灸診療を高度に行える新しい企画を盛り込んで会員の進歩発展に寄与してゆきたいと考えております。
どうかそういう意味におきまして、各会の先生方にも是非ご協力とご鞭撻を賜りますことをお願い致しまして私の挨拶に代えさせて頂きます。どうもありがとうございました。」
(社)全日本鍼灸学会岐阜地方会会長
朝日大学長 船越 正也 先生
「ただいまご紹介に預かりました船越でございます。本日は愛知地方会が設立20周年をお迎えになられまして、本当におめでとうございます。心からお祝い申し上げる次第でございます。この愛知地方会は名前こそ地方会となっておりますけれども、私などが拝見致しますところ、全日本鍼灸学会の中核としてこれまで長い間20年間努力をしてこられましたわけでございます。その絶大なご努力とましてそのご業績に対し心から敬意を表す次第でございます。私共はとなりの岐阜地方会のものでございますが、これまでも本当に愛知地方会の皆様には色々とご指導ご鞭撻またご協力頂いて参りました。
お蔭様で何とかここまで私どもの会もやって来ることができたわけでございます。ここに20年という節目を迎えられまして、今後益々鍼灸学会のためにまた鍼灸医療のためにご尽力下さいまして、一層のご発展を心からお祈りを申し上げまして私のご挨拶とさせて頂きます。どうも本日は誠におめでとうございました。」
中和鍼灸専門学校校長 大島 桂太 先生
「20周年記念ということで私にご指名を頂きました。先輩諸氏がたくさんお見えになるのに一言だけ申し上げておきます。この間私実は専門学会に参りましたら、『おまえは何をやっておるか』とおっしゃるものですから、『こういうことで中和鍼灸学校にやっかいになっていますよ』と言いましたら、『おお東洋医学か、東洋医学はいいなあ』といわれまして、『なぜですか』と言いましたら、『学問が進歩しないもので少しも勉強しなくてもいいからじゃないか』と言われました。『なぜそういうことを言うのですか』と言いましたら、『第一に自然治癒力だろ、それから穴は決まっているだろう、病気に対してその通りにやっていれば勉強しなくてもいいからね。西洋医学はものすごく進歩するから大変だ』という話を聞きまして、そんなことを皆は考えているかなとびっくり致しました。それで少し考えてみると、自然治癒力といいますと、これは患者さんの身体の事でございますけれども、それは古いものでございましょうね、三千年とか二千年とかおっしゃいますから、その当時生活している人というと、これは何を食べていて、どうなっているか解りません。例えば日本人でも江戸時代だというと、おそらく今のような食事は食べていないと思います。だから当然体質も違っているし、社会状況も違っているから当然いわゆる人間の自然治癒力も全然変わっているわけでございます。それに対応するようなことを先生方が勉強して今の実はこういう鍼灸の学会というものを発展してこられたと思います。そういうようなことでそんなことしか皆さんは考えておられないかなあと少しびっくり致しました。『実はこういうような学会があって毎日勉強して色々な先生たちが勉強しておられるのだから、そういう君の考えは間違っているよ』と言ったら、『そうかなあ』とか言って首を振っておられました。そんなようなことでございまして、この20年のあゆみと言うものは大切なものでございまして、諸先生、会員の皆様の絶えまざる努力ということでこういうことで成り立ってきただろうと思います。こういうような基礎と申しましょうか細かいことでございますが、毎日毎日の積み重ねというのが非常に大事でございますし、やはり現代の社会情勢、現代の患者さんに対応するような治療法をひとつこれから益々ご勉強を頂ければ私どもといたしましては非常にありがたいと思うわけでございます。つまらない話を申し上げましたが、お祝いの言葉に代えさせて頂きます。どうもありがとうございました。」
(社)愛知県鍼灸師会会長 熊崎 勝馬 先生
「ただいまご紹介頂きました愛知県鍼灸師会の熊崎でございます。本日は愛知地方会設立20周年記念式典誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
思い返しますと、丁度20年前、昭和47年の10月1日、同じこの名古屋市立大学病院の5階大ホールで発会式を開催致しました。当時の会長加藤幹夫先生、この先生に京都から来て頂きまして黒野保三先生と私がこの地方会の設立の認証状を受領致しましたことを昨日の事のように思い出します。
あれから20年も経ちました。この地方会も非常に色々な皆様方のご協力を得まして今日があるわけでございますが、この設立に際しましては、最大のご苦労と言いますか、その当時の設立の実行委員長として高木健太郎先生が随分お世話下さいました。また、当時のこの地方会の初代会長の堀田健先生、あるいはその設立に際しまして、吉田誠三先生とか、森一彦先生とかいろいろなたくさんの方々のご協力によってこの地方会が設立されました。その後この渡仲三先生、所集次先生と歴代の役員の皆様方が本当に寝食を忘れて今日まで育てて見えたことには非常に敬意を表するものでございます。
やはり鍼灸はこの高齢化社会において本当に副作用がまず少ない、あるいは手軽に守備範囲も広いというようなことで、現代に非常にマッチした治療法でないかとそう思います。
やはり、この重要なあるいは今までの古い歴史の中から受け継いだ伝統的な医学を今の社会の中にやはり生かすべく我々は一生懸命努力したいと思います。そのためにはなぜ効くのか、どういう病気に効くのか、どの程度効くのかというものをやはり科学的に十分検討することがこの学会の大きな使命だと思います。私どもと致しましてはこの地方会がこれから先も一生懸命努力することによって鍼灸のそういう社会的な評価がこれからも益々高まることを非常に祈念致しているわけでございます。特にこの会の中核となって動いて下さいました黒野保三先生は設立から現在に至るまで本当に裏で渾身、寝食を忘れて努力して見えたことはひとしくご存じの通りだと思いますけれども、やはりこれは一人の力ではどうにもなりません。鍼灸師、あるいはそれぞれ医療に携わる人達が皆力を合わせてこれからもこの鍼灸を盛り上げるために一生懸命頑張りたいと思います。益々の地方会の発展を祈念致しまして私の挨拶に代えさせて頂きます。どうもありがとうございました。」
一.来賓ご紹介
(社)全日本鍼灸学会岐阜地方会事務局 河村 廣定 先生
(社)全日本鍼灸学会三重地方会会長勝田穣先生代理 三重地方会副会長 中井 俊造 先生
(社)全日本鍼灸学会三重地方会事務局木下伸一先生代理 三重地方会副会長 近藤 清 先生
(社)三重県鍼灸師会会長 松久 正美 先生
(社)岐阜県鍼灸師会会長 南谷 旺伯 先生
一.20年のあゆみ紹介
愛知地方会研究部長 石神 龍代 先生
一.祝電披露
参議院議員 参議院自由民主党幹事長 斉藤 十朗 先生
(社)全日本鍼灸学会会長 東京大学名誉教授 山村 秀夫 先生
(社)日本鍼灸師会会長 明治鍼灸大学理事長 谷口 健蔵 先生
三重地方会会長 三重大学名誉教授 勝田 穰 先生
愛媛地方会会長 越智 新一 先生
一.閉会の辞
愛知地方会組織副部長 鈴木 武志 先生
記念講演会
司会 愛知地方会教育部長 田中 法一 先生
(1)「鍼灸と自律神経反応」
司会 愛知地方会研究部長 石神 龍代 先生
講師 筑波技術短期大学教授 西條 一止 先生
(2)「血管平滑筋の収縮・弛緩の制御因子」
司会 愛知地方会会長 所 集次 先生
講師 名古屋市立大学医学部教授 鈴木 光 先生
(3)「経絡治療の真髄」(講演と実技)
司会 愛知地方会副会長 黒野 保三 先生
講師 日本経絡学会会長 岡田 明祐 先生
一.閉会の辞
愛知地方会副会長 黒野 保三 先生
【おわりに】
以上のように当地方会は明治時代より暗黒に包まれていた鍼灸医学の新しい幕開けをになってきたといっても過言ではない。
今後も設立以来の20年の歩みを土台として21世紀に向けて鍼灸医学の進歩・発展をはかり、鍼灸医療を行う者の真の位置付け(仮称:鍼灸医師)を確立するために邁進しなければならない。