中和医療専門学校1)愛知医科大学医学部解剖学講座2)
○黒野由利子1,2)、中野隆2)、葛谷正1)
【目的】
実習科目において参考資料を併用することがある。その資料の違いによって生徒の学習意欲や実習に対する感想、実際の到達度に違いがでるのかどうか調査したので報告する。
【方法】
対象は本校3年生49名。解剖体写真(解剖グループ)とイラスト図(イラストグループ)を用意し、実習資料として使用した。
解剖の写真は、愛知県立看護大学基礎看護学講座の協力のもと愛知医科大学医学部解剖学セミナーで教育研究に用いられた御遺体において撮影した資料を作成した。
イラスト図は、解剖体写真を参考に教員が黒板に板書する方法を採用した。資料を参考にして目的の場所に刺鍼させ、目的達成までの刺鍼回数、時間、到達度について観察した。
授業後、資料に対する感想(資料の有用性、実習内容への積極性、実習内容の印象、到達目標への達成感はVAS、その他は自由記述回答)をアンケートにて行った。
【結果】
アンケートでは、解剖グループでより積極的な回答がVAS、自由記述回答共に見られたが有意差はなかった。
目的の刺鍼が出来たかどうかでは、刺鍼回数、時間、到達度のすべてにおいて、解剖グループで有意にレベルが高い結果が得られた。
【考察】
授業での講義文句は一様とし、参考資料を変えただけの授業で学習効果に違いが出るか生徒の感想と教員から見た到達度で評価したところ、主観的な部分は差があまり見られなかったものの、実際の刺鍼において刺鍼回数、時間、到達度のすべてにおいて、解剖グループで有意にレベルが高い結果が得られた。
単位数の関係等で同じ内容についての実習を繰り返し行うことが難しい場合、1回の実習時間でいかに達成目標に近づけられるかが重要になってくると思われる。
今回、解剖体写真を呈示することによって生徒の主観的な感想と教員から見た達成度でより高い結果が得られたことから、解剖写真を参考資料として使用することは実習において効果的であると考えられる。
キーワード:解剖体写真、アンケート、教育