愛知地方会研究部情報評価班
○ 皆川宗徳、服部輝男、石神龍代、中村弘典、河瀬美之、甲田久士、絹田 章、田中法一、山田 篤、井島晴彦、中村高行、加納俊弘、校條由紀、杉﨑文彦、迫井 豪、後藤博文、平松英敬、片岡泰弘、黒野保三
【目的】
黄帝内経素問平人気象論篇第十八と難経十五難において、春夏秋冬の平脉に変化があると述べていることに着目し、大寒と大暑の時期に脉状、最高血圧、最低血圧、心拍数、平均血圧、総末梢血管抵抗に変化があるかどうかを検討した結果、興味ある結果が得られたので報告する。
【方法】
対象：健康成人男性7名(平均39.3 ±10.6 歳)、実験日：平成16年1月25日(大寒時期)、平成16年7月25日（大暑時期）の２回。気温は、大寒時期：外気温度1.5℃、室内温度18℃、大暑時期：外気温度31.2℃、室内温度32℃の条件であった。5分間安静後、血圧→脉状→心電図を測定し検討した。
【結果】
最高血圧（mmHg）：大寒時期116±14、大暑時期115.7±11.9 最低血圧(mmHg)：大寒時期70.3±13、大暑時期69.1±15.6心拍数(回/分)：大寒時期67.6±7、大暑時期67.4±4.6 平均血圧（mmHg）：大寒時期85.7±12.9、大暑時期85±14総末梢血管抵抗：（dyne/sec/cm-5）大寒時期1302±214、大暑時期1280±246となり、最高血圧、最低血圧、心拍数、平均血圧、総末梢血管抵抗について、Mann-Whitney検定で有意な差は認められなかった。
【考察】
今回、成人男性の大寒、大暑の時期における血圧の変動を検討したところ、最高血圧、最低血圧、脈拍、平均血圧、末梢血管抵抗に関して変化は認められなかった。脉状に関しては、浮・沈は大寒の時期は浮が２名、中が５名と中が多く、大暑の時期は全員が浮という特徴的な脉状が認められた。滑・ショクは、大寒の時期は滑が１名、和が５名、ショクが１名と和が多く、大暑の時期は滑が５名、和が２名と滑が多く特徴的な脉状が認められた。
【結語】
今後さらに古典文献に記載された理論を一つ一つ実証医学的に究明して行きたい。
キーワード：大寒 大暑 脉状診 素問 血圧
