愛知地方会 生体防御免疫疾患班
東洋医学研究所®
中村 覚、橋本高史、角田洋平、石神龍代、井島晴彦、中村弘典、河瀬美之、皆川宗徳、服部輝男、黒野保三
【目 的】
わが国における花粉症の有症者は15~20%と云われ、特に花粉飛散期に生活の質(QOL)が著しく障害される人が多いことからQOL調査が重要視されている。
今回、東洋医学研究所®グループにおける鍼治療継続患者に対して日本アレルギー性鼻炎QOL調査票(JRQLQ)を用い、花粉症によるQOL障害の調査及びJRQLQの有用性を検討したので報告する。
【方 法】
2005年1月1日~4月30日までに花粉症症状を訴えた鍼治療継続患者35名を対象に、JRQLQ No.1・No.2とアレルギー性鼻炎重症度判定項目を使用した。
【結 果】
JRQLQ No.1Ⅰでは「やや重い」以上の割合は、眼のかゆみが57.1%で最も多かった。No.1ⅡQOL障害の程度では「ややひどい」以上の割合は、外出の支障が37.1%で最も多かった。鼻・眼の症状とQOL障害の程度の間に高い相関が認められた。JRQLQ No.2 鼻・眼以外の症状では「すこし」以上の割合は、口が乾くが40.0%で最も多かった。重症度判定では中等症以上の割合は91.4%であった。
【考 察】
JRQLQ No.1Ⅰでは、花粉症特有の眼のかゆみにおいて57.1%が「やや重い」以上であり花粉症に対する調査対象が妥当であったと思われる。
No.1Ⅱでは、野外活動・外出の支障が特に障害されており、花粉症に代表的なQOL障害が認められた。鼻・眼の症状とQOL障害の程度の間に高い相関があり、JRQLQの臨床妥当性が認められた。
JRQLQ No.2では、花粉症による味覚の障害は低いことがわかった。
重症度判定では、重症度とQOL調査票との間には相関が見られなかったが、その理由としては日常生活の障害項目が反映されないことが関与していると思われる。
【結 語】
眼のかゆみ、外出の障害など花粉症特有の障害が高かった。JRQLQの臨床妥当性が確認でき有用性が認められた。JRQLQの重症度判定基準については症例を集積しさらに検討する必要がある。
【キーワード】花粉症、日本アレルギー性鼻炎QOL調査票、鍼治療、アレルギー