日時:平成19年11月4日 午前9時30分~午後4時
場所:名古屋市立大学医学部研究棟11階A講義室
内容
1)臨床鍼灸医学研究
「医療関連の資料紹介」
「脳科学と鍼灸医学について」
(社)全日本鍼灸学会参与
愛知地方会名誉会長 黒野 保三
(内容紹介)
鍼灸界を本当の意味で発展させることができる可能性は、現時点においては鍼灸を業とするもの個人が精度の高い鍼灸治療を行うしかないことは明らかであることについて、まず教えて頂きました。
「色々な考え方、また意見などについて理解できないということが、その人としてのレベルの違いであることがあります。例えば本を読んで知っていたりすると、いかにも自分のレベルが高いと錯覚することがあります。また、レベルの高い人間を知っているというだけで自分がレベルが高いと勘違いしていることがあります。レベルが出来上がるということは知っているだけでは形成されず、それを実践して足跡を残してこそレベルが出来上がるはずです。
ここは学会ですから分かりやすい話をしますと、研究や実験を行ったものを発表して論文を書くところまで行い、他の人がまたその論文を引用したものが、その人が行った実績となるわけです。そういうことの積み重ねを行う行動しかレベルをあげる方法はありません。」と教えて頂きました。
また、鍼灸が本来行わなければならないニュースも取り上げて教えて頂きました。その内容としては「病気の予知にカウンセリングが必要なことが新聞にあげられていましたが、鍼灸診療の得意分野である1対1の治療方式では当然のことであるが十分行われていません。また、子供の突発性難聴が話題になっていますが、鍼治療では適切な時期(発症から1週間程度)に治療すれば治癒率が高く長期間の治療の必要がないことが特徴です。
さらに、DNAなどの遺伝情報は転写の際に必要な部分だけ書き込まれることがあげられます。その中でもこの遺伝情報が環境によって変化するということが証明されてから、いい環境づくりが必要であることがいわれております。鍼治療がいい環境を作れるのなら、いわゆる糖尿病などの親からの遺伝情報が病気の発症に関与する病気でも、いい状態に保てるはずです。
しかし、残念ながらまだ鍼治療は未科学の治療と言わざるをえませんが、鍼治療を行う際の厳密な量・質・場所を明らかにして、現在の未科学なアナログ治療から確実性のあるデジタル治療にすれば医療としての価値があがります。しかし、先程の話に戻りますが鍼灸師個人のレベルがあがっていないと医療の一員としては迎え入れられることがなくなるはずです。」と説かれました。
次に、前回の講義の続きである脳科学における神経伝達について説明して頂きました。特にシナプスでの伝達は情報を伝えるのみでなく、情報の選別を行っていることです。ここでもよい鍼治療は神経での環境を整える可能性を示され、本当の意味で刺激を与えた時の生体反応を理解して治療を行わなければならない必要性を、あらためて説かれました。
2)糖尿病に対する臨床病理学(認定指定地方会研修講座)
「メタボリックシンドロームと糖尿病(各論)-糖尿病・高脂血症・高血圧症・高尿酸血症-」
小林記念病院糖尿病センター長
小林記念病院内科医長 藤井 徹
3)糖尿病に対する基礎・臨床、診断と治療
「糖尿病性腎症について」
愛知地方会会長
愛知地方会研究部生活習慣病班班長 中村 弘典
4)ホームページ作成について
「交通・アクセス」
愛知地方会ホームページ委員 中村 覚
5)症例検討会
「糖尿病における鍼灸治療の症例報告」
脉診研究「鍼和会」副会長 牧野 京市
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