日時:平成20年3月2日 午前9時30分~午後4時
場所:名古屋市立大学医学部研究棟11階A講義室
内容
名古屋市立大学医学部研究棟11階A講義室
1)臨床鍼灸医学研究 (認定指定地方会研修講座)
「医療関連の資料紹介」
「海馬の機能について」
(社)全日本鍼灸学会参与
愛知地方会名誉会長 黒野 保三
(内容紹介)
この1ヶ月で、医学分野の発展のニュースがいろいろ入ってきました。このわかってきたニュースが、非常に鍼灸と関わっていることを中心に今後あるべきことを教えていただきました。
「代表例のニュースとしてはミクロの分子レベルの進化が有利・不利だけの自然淘汰のメカニズムだけで働くのではなく、過去に分子進化の中で中立説が唱えられていました。そして、この中立説の先見性が現在、浮かび上がってきました。この中立性が鍼灸に非常に関係がある分かりやすい例として、鍼灸治療での血圧の治療があげられるのではないでしょうか。単純な数学的な原理から考えると高血圧に対して鍼灸治療をすると血圧値が下降することは経験上でも研究でも証明されつつありますが、この理論からすると低血圧に対して鍼治療をするともっと血圧が下降するということになります。しかし、現実は違います。この例は中立性、言い換えれば身体のリセットをするのが鍼灸治療だと考えていることからきています。
また、鍼治療は体にいいですよと言いますが、まだ完全になぜ治るかを説明することはできません。私の研究も現場の現象を科学的に証明したいその一心のみで行っておりますが、一人の力では限界があります。そういう私達にとって新聞の記事一つでも価値がわかり、応用していくことこそが未科学の医学として行っている鍼灸治療を先端医療にしていく第一歩になると確信しており、みなさんに情報を提供する根拠になっているのです。
もう一つの話題として、鍼灸の一番得意なものは予防であります。今年度からは企業でも予防に焦点をあてた対策が義務づけられるようになります。しかしながら鍼灸が一般的には普及してきたと言われますが、本当の鍼灸の価値は一般の人々には浸透していません。本来ならば「未病治」といわれるように鍼灸の得意な分野だから、鍼灸師に任せるというようにならなければならないということです。この点においても、鍼灸を行う者の質が問われ、勉強して対応できる人数が増え、全体のレベルが上がらない限り将来はありません。」と説かれました。
次に、前回の講義の続きである脳科学における海馬での記憶について説明していただきました。
「鍼灸治療のいい記憶を残すには、刺激を行う場所を正確にみつけ、適切な量と質の刺激を患者の状態によって使い分けるだけの技術が必要であります。技術の良し悪しもデジタル的に表現する研究もしてきました。発展してくる治療においても行う人の技術が伴わなければ、先程述べました先端医学としての進歩もありません。」と教えて頂き、生体反応を理解した治療を行わなければならない必要性を、あらためて説かれました。
2)糖尿病に対する臨床病理学
「糖尿病診療の病診連携・・・JDOIT-1~3、そしてそれ以降について
鍼灸師はどこに係わるべきだろうか?」
小林記念病院糖尿病センター長
小林記念病院内科医長 藤井 徹
3)糖尿病に対する基礎・臨床、診断と治療
「糖尿病動物に対する鍼治療の検討」
愛知地方会会長
愛知地方会研究部生活習慣病班班長 中村 弘典
4)ホームページ作成について
「HTMLソーズの変更方法について」
愛知地方会ホームページ副委員長 加納 俊弘
5)症例検討会
「生活習慣病 -腸管免疫を考えて-」
愛知漢方鍼医会代表 高橋清吾
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