東洋医学研究所®
○角田洋平,中村 覚,橋本高史,石神龍代,井島晴彦,黒野保三
【目 的】わが国におけるアレルギー性鼻炎・花粉症の罹患率は15‐20%と云われ、近年増加傾向にある。鼻・眼の症状は患者のQOLを著しく障害するとされているが、今だ有効な治療手段がないのが現状である。
我々は第55回全日本鍼灸学会金沢大会において花粉飛散期における花粉症患者に対する鍼治療の有効性について報告した。
今回、通年性アレルギー性鼻炎の患者に対し、継続して鍼治療を行い、症状の変化を日本アレルギー性鼻炎QOL調査票(JRQLQ)No1、No2、重症度判定を用いて検討したので報告する。
【方 法】平成16年12月16日から平成18年6月12日の間に東洋医学研究所Rに来院した新患のうち、通年性アレルギー性鼻炎の患者6名(女性6名 平均年齢46.0歳)を対象とした。治療は、生体の総合的統御機構の活性化を目的とした太極療法(黒野式全身調整基本穴)を行い、初診時・8回目・15回目・22回目来院時にJRQLQ No.1・No.2と重症度判定を使用し比較検討した。
【結 果】総括スコアにおいて、初診時と比較して8回目(p<0.01)15回目(p<0.05)22回目(p<0.01)にて有意な改善が認められた。アレルギー性鼻炎の主症状である鼻・眼の症状スコアやその症状により阻害されるQOLスコアを初診時と22回目で比較すると、改善傾向がみられた。重症度判定においても初診時には重症が3例・軽症が3例であったが、最終時には中等症2例・軽症4例と、改善がみられた。鼻・眼以外の症状スコアでは若干の悪化傾向がみられた。
【考 察・結 語】今回の調査から、鍼治療により、通年性アレルギー性鼻炎症状の改善と共に、QOLを改善する可能性が示唆された。
今後も、JRQLQを使用し、通年性アレルギー性鼻炎に対する鍼治療の有効性を客観的に検討していきたい。
【キーワード】通年性アレルギー性鼻炎,日本アレルギー性鼻炎QOL調査票(JRQLQ),太極療法,鍼治療