東洋医学研究所®1)
東洋医学研究所®グループ2)
角田洋平1) 中村 覚1) 橋本高史1) 石神龍代2)
井島晴彦2) 中村弘典2) 服部輝男2) 河瀬美之2)
狩野義広2) 皆川宗徳2) 山田 篤2) 黒野保三1)
【目的】
我々は、2005年からアレルギー性鼻炎に対する鍼治療の効果についてJRQLQを用いて調査を行ってきた。今回、2009年スギ花粉飛散期における調査で、局所療法として迎香穴を使用したところ、興味ある結果が得られたので報告する。
【方法】
2009年2月10日から5月8日までの約3ヶ月間に、東洋医学研究所Rグループ9施設において、花粉症症状を訴えて来院した患者48名(男性12名、女性36名。平均年齢50.8歳)を対象とした。鍼治療は週1回以上の頻度で黒野式全身調整基本穴を用いた生体機構制御療法+局所療法(迎香穴)を施し、JRQLQを指標とし、1回目調査時と鍼治療7回終了後の2回目調査時を比較検討した。
【結果】
調査の結果、鼻・眼の症状、QOL質問項目、花粉症重症度は改善傾向がみられ、総括的状態において有意な改善(p<0.05)が認められた。鼻・眼の症状で比較すると、眼症状においてより大きな改善傾向がみられた。QOL質問項目では6因子中4因子において改善傾向がみられた。
【考察】
今回の調査でも、結果に示すような花粉症症状の改善が認められたことから、鍼治療は花粉症の治療に有効である可能性が示唆された。
また、迎香穴を使用することにより、眼症状に大きな改善傾向がみられた。これまでの報告では、花粉飛散量が少ない年は多い年に比べ、目のかゆみが改善しやすい結果が出ている。今回は過去5年間の中で最大の飛散量であったにも関わらず、少ない年と同程度の改善率がみられた。迎香穴使用により、鼻症状のみならず眼症状の改善にも効果がある可能性が考えられた。
【結語】
花粉症に対する鍼治療の効果が確認できた。また、局所療法として迎香穴を併用することによって、鼻症状のみならず眼症状の改善にも効果がある可能性が考えられた。
今後も、局所療法を含め、花粉症に対する鍼治療の有効性について検討していきたい。
キーワード:日本アレルギー性鼻炎QOL調査票、花粉症、鍼治療、黒野式全身調整基本穴、生体機構制御療法