平成22年9月号
(社)生体制御学会会長
中 村 弘 典
平成19年8月まで「研究班紹介」と題して研究班の班長の先生より研究班の紹介を頂いておりましたが、9月より、メディアの医療情報の中で研究班に関係する記事がありましたら各班長にコメントを頂き、日頃の臨床に役立てて頂く目的で「生体制御学会NEWS」を発信させて頂きます。
今回は『スポーツと心臓震盪』について、生体制御学会研究部循環器疾患班班長の服部輝男先生に以下のように解説して頂きました。
スポーツと心臓震盪
生体制御学会研究部 循環器疾患班班長
服部 輝男
今年の夏は異常に暑く、熱中症や脱水症を訴える人々が大変多く、救急搬送されたなかにも死亡にまで至った方々も数多くあったとの報道もありました。大変不幸な出来事であったと思われます。
しかし、これらの症状や予防法に関しては、猛暑が始まって以来、連日連夜テレビ、ラジオをはじめいろいろな広報媒体を通して広く国民に周知されています。
一方、表題の心臓震盪に関し大多数の国民が「知らない或いは知識がない」と、私は思っています。前述の熱中症や脱水症の様に、心臓震盪についての報道はほとんど無いのが現状です。
心臓震盪は、子供の突然死の原因の一つに上げられ、それまで元気で何の病気もない子供や若い人(主に十代)の胸部に、胸骨や肋骨が折れるほどの激しい衝撃ではなく、比較的弱い衝撃が加わることで起こると言われています。
また、心臓震盪はいつでも起こるわけではなく、心臓の動きの中のあるタイミングの時にボールが胸に当たった衝撃で、高率に心室細動が発生し、心臓停止に至ると考えられています。
この致死的な心臓震盪から子供達を救うために、一刻も早く救命措置を開始する必要があります。この救命措置と言われているものが自動体外式除細動器(Automated External Defibrillator : AED)による除細動の蘇生措置で、AEDにより心室細動を発症した心臓に電気ショックを与え、正常な心臓の鼓動を取り戻し、救命を行います。
この救命措置は心室細動の発症現場で一刻も早く行わなければなりません。従いまして、最低でも現場を率いるリーダーは常にAEDを用意し、AEDの使用を熟知していなければなりません。
このAED使用訓練は各自治体の消防署において訓練していただけます。一度相談され、訓練を受けておく必要があると思われます。
(社)生体調整機構制御学会研究部循環器疾患班班員および各研究班班長は、全員AED使用の訓練を受けております。
文献
http://www.tmg.gr.jp/hokensinpou/040302-shinshintou.html
http://www.geocities.jp/ymhr08/H19/Sinzoushintou/Shinzoushintou.html
http://narumi-ecl.co.jp/shinzou-shintou/sinzosintou-towa.html