日時:平成23年2月6日 午前9時30分~午後3時
場所:名古屋市立大学医学部教育棟2F 第1講義室
内容
1)「臨床鍼灸医学研究」
(社)生体調整機構制御学会理事・名誉会長 黒野保三先生
①生体調整機構制御学会の対外的な評価から、その価値と将来性について説明がなされた。
②黒野保三名誉会長のアクセプトされた論文及びそれに伴う講演から、世界から注目される日本の鍼灸の価値について説明があった。
③鍼灸の価値をたかめるために、鍼灸医師としての自覚が必要であり、自覚に基づく行動の必要性について説明がなされた。
(内容紹介)
本年初めての生体調整機構制御学会の定例講習会でしたが、前回の講習会からわずかな時間しか経過していませんが、その時代の変化と鍼灸に関与する変化について講義いただきました。
「この生体調整機構制御学会は全日本鍼灸学会愛知地方会の事業を継承するかたちで40年近く研修会を行い、どの地方会よりも充実していると自負しております。自負しているだけではなく、いろいろなところから評価されてきました。そして、行ってきたことが正しいということが、証明された事実がありますので紹介したいと思います。
昨年の春から研究してきた内容が論文としてアクセプトされました。個人の論文ではありますが、その流れが生体調整機構制御学会まで広がってきています。日本の鍼灸はレベルが低いとみなされていますが、この論文が本当のサイエンスとして承認されましたので、世界に対して正しい日本の鍼灸を発信できることとなりました。
研究内容を具体的に示しますと、今まで中国を中心とした鍼治療の方法の多くは、得気を得る強い刺激により研究し、得気があることが鍼治療の本質であるとしています。今回、発表した論文は、得気を得る必要は無く、必要な場所に必要な量の刺激をあたえることによって、自律神経機能に影響をあたえることができるということです。ここでのポイントは、自律神経に影響をあたえることができることを明らかに証明できたのがこの治療法であること、また、この方法を使えば研究的に明らかなプラセボを完成させることができるということです。その意味では、この論文が早くも世界的に注目されています。
また、日本の医学界でも心電図の研究会という、確かな医学の研究会で、この論文を中心とした鍼治療と自律神経の関係についての講演の依頼があり、講演を行うことができました。こういう場所で行うことは本来異例であるはずです。このように正しいところで行われた研究は確実に評価されるということが実証されたわけです。この学会の価値は鍼灸界はもとより医学界で評価されているということにつきるのではないでしょうか。
このような価値があがる中で、鍼灸師が鍼灸医師として自覚をきちんともち、正しい場所で正しい勉強をしていかないと、日本の政府がWHOに対面的に答えたように、医師に東洋医学を行わせ、専門職である鍼灸師を無視しようとしていることに、正当に対応できないことになります。
鍼灸が医療だといえば責任があります。そこには裏切るような行為はできないので、最低限でも知らなければいけないことを知らないということは通用しないので、その知らなければいけないことを知る意味でも正しい場所での勉強が必要になります。これからは言葉だけが先行する業界ではいけないことは明らかであります。」と教えていただきました。
その後、実際の講演の一部をみせていただき、今後の方向性をあらためて示されました。
2)「免疫学の基礎的考え方(Ⅰ)」(認定指定研修C講座)
名古屋市立大学名誉教授 岡田秀親先生
スライドを使用し、補体を中心とした免疫学の歴史について最新情報を交えて詳細な説明があった。
3)「生体防御免疫疾患の基礎・臨床、診断と治療」
(社)生体機構制御学会研究部生体防御免疫疾患班班長 井島晴彦 先生
スライドを使用し、そのメカニズムについて詳細な説明がなされた。
4)生体防御免疫疾患に対する症例報告・検討
(社)生体機構制御学会会員 中村覚先生
「アナフィラクトイド紫斑病に対する鍼治療の一症例」と題してスライドを使用し、症例検討が行われ活発な質疑応答があった。
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