日時:令和6年7月7日(日) AM9:00~PM12:10
会場:Zoomによるオンライン会場
内容
1)AM9:00~10:30
基礎生理学1
(公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
愛知医科大学客員教授(神経内科) 岩瀬 敏 先生
岩瀬先生はCovid-19神経後遺症の治療をされている中で、前提として病状の理解をするためには神経生理的な理解が必要であり、Covid-19神経後遺症の症状がどのような内容で、どこに生理的機能を障害されているのかを考慮して治療に臨まれているのかを具体例をあげながらお話いただきました。
2021年7月に受診された患者様が、段取りができなかったり(Working Memory Lossの症状)、何を考えていたか忘れてしまう (ブレインフォグの状態)が発現していたことなどをふまえて、ウイルス性脳炎の後遺症と判断して、ステロイド漸減療法と作業療法により経過観察を行ったが、症状の有意な軽減が認められたが完治には至らかったので、ステロイドパルス療法を導入して症状が完治したことを報告されました。
その経験を生かして、多くのCovid-19神経後遺症患者を診る上で、最も多く確認されたのが前頭葉症状である記憶障害やマルチタスク障害などに加えて、オミクロン型になってからはうつ症状として睡眠障害や摂食障害などを訴える患者が多いことを示されました。その症状を的確に把握してどこがやられているかを掴んだ上で適宜治療を行うことが、理解が不足している病気にも対応できることを示唆されました。
今回は脳神経の解剖と生理ということで、12脳神経の分類と機能を中心に細かく解説いただき、その中でも、第一脳神経の嗅神経に関して、パーキンソン病の初期症状としても障害が認められることが多いといった臨床的なお話も交えて、分かりやすくお話しいただきました。
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2)AM10:40~12:10
情動が記憶を選別する
(公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座
名古屋大学名誉教授 澤田 誠 先生
情動が記憶を選別する」と題しまして、情動とは何か?というご説明から、ポジティブな情動が記憶の増大につながるメカニズムをお話しいただきました。
情動とは『生命の大原則』(個体および種族維持)に基づく感情体験と身体反応のことです。
人間は全ての情報を記憶するのではなく、情報を取捨選択してわりと曖昧な情報として脳に蓄えています。つまり脳の働きとはコンピューターと違って必要な情報をためておいて、その情報の塊(マインドセット)にて過去の経験を基に仮想空間を作っています。その中で、こんなことをやったらどんなことが起こるのだろうかという判断をして行動を起こします。行動を起こすための前提として記憶というものがあり、その記憶を作るために情報から生存するために必要な情報を取捨選択する役割に情動があります。
情動は自分の生存にとって好ましい(快の情動)か、好ましくないか(不快の情動)に分けられていて、神経伝達物質の種類や量によって調節メカニズムが変わってきます。そこで、Cannonをはじめ様々な研究を例にあげて、情動反応がどのように起こるのかを詳しくお話いただけました。
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