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令和6年度第3回(317回)Web講習会

日時:令和6年10月6日(日) AM9:00~PM12:10

会場:Zoomによるオンライン会場

内容

澤田 誠 先生
澤田 誠 先生

1)AM9:00~10:30

 基礎生理学2

 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

  愛知医科大学客員教授(神経内科) 岩瀬 敏 先生

 

今回の講義では前回に引き続き12脳神経の顔面神経から舌下神経のお話いただいた後に、末梢神経について分かりやすくお話いただきました。

 12脳神経のお話の中では、舌咽神経は①嚥下反射を支配、②上咽頭の感覚を中枢に伝える、③頸動脈からの血圧を中枢に伝える、④舌後ろ1/3の味覚と感覚を伝える、といった役割を担っていることを教えていただきました。その上で、摂食は認知期(先行期)、準備期、口腔期(第1相)、咽頭期(第2相)、食道期(第3相)に分けられ、その中でも準備期と口腔期(第1相)を『咀嚼期』、口腔期(第1相)と咽頭期(第2相)、食道期(第3相)を『嚥下の3相』と分類でき、老年性の嚥下障害はこの『咀嚼期』と『嚥下の3相』をしっかり分けて考えることが大切であることを指摘され、予防策として咀嚼と嚥下をしっかり分離して行うことの重要性を教えていただきました。

 また、末梢神経のお話では、腕神経叢(頚腕神経叢)はC5からT1の枝から形成されており、その派生の中で、肩甲神経は肩こりで代表でもある肩甲挙筋を支配しており、この部位の経穴の重要性を示していただくなど、我々の臨床に沿った内容も含めてご教授いただきました。

 

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澤田 誠 先生
澤田 誠 先生

2)AM10:40~12:10

 睡眠不足が記憶の整理を妨げる

 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

  名古屋大学名誉教授 澤田 誠 先生

 

 今回の講義では『睡眠不足が記憶の整理を妨げる』と題して丁寧にお話いただきました。

 海馬の記憶は数十分から数日で消えてしまい、睡眠時の『夢』が大脳皮質の記録回路に記憶を固定化するという重要な役割を担っています。具体的な夢の役割として、生きるための情報の取捨選択や生存のためのリハーサルをすると共に、いらない情報を排除することによって、トラウマの自己治癒にも関与しています。

 夢はノンレム睡眠とノンレム睡眠のどちらに対しても関与があり、その情報の整理内容に違いがあります。レム睡眠時には物語、エピソード記憶の整理を行い、ノンレム睡眠の中でも睡眠ステージⅡでは手続き記憶(運動技能)といった情報が整理され、睡眠ステージⅢ、Ⅳでは暗記や意味記憶に関係する学習に重要です。また、レム睡眠の質がノンレム睡眠の質の向上にも影響し、レム睡眠は記憶全体に重要な役割を担っています。

 脳は覚醒時だけでなく睡眠時にも活性化しています。大脳辺縁系が覚醒時の120%以上の活動をしていることに加えて、前頭前野も覚醒時の70%は活動しており、積極的に情報の整理をすることによって、不要な情報が取り除かれて疲労の軽減につながることをお話いただけました。

より睡眠の重要性を理解することのできる貴重なご講義となりました。

 

 

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