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令和6年度第4回(318回)Web講習会

日時:令和6年11月3日(日) AM9:00~PM12:10

会場:Zoomによるオンライン会場

内容

澤田 誠 先生
澤田 誠 先生

1)AM9:00~10:30

 糖尿病の薬物療法について

 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

  愛知医科大学客員教授(神経内科) 岩瀬 敏 先生

 

今回の講義では『糖尿病の薬物療法について』と題しましてインスリンについて分かりやすくお話いただきました。

インスリンの歴史は1869年にドイツのランゲルハンスが膵臓に新たな細胞群を発見したことを始まりに、インスリン関連のノーベル賞は糖代謝の研究やインスリンのアミノ酸配列など7つもの研究で受賞されています。インスリンは当初、豚のインスリンが利用されていましたが、1979年に遺伝子組み換えにてヒトインスリンを製造できるようになりました。

インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる効果を持っています。インスリンによる血糖値の調整としては、食事により腸管からブドウ糖を摂取すると血糖値が上昇し膵臓からインスリンが分泌されます。すると筋肉、脂肪など標的細胞におけるインスリンの受容が起こり標的細胞におけるグルコースの取り込み(使用)が行われ血糖値の低下を引き起こします。

 インスリン分泌には人種差があり、米国白人に対して日本人のインスリン分泌量は少なく、このことから人種によって糖尿病に対する対策も違ってくることを示唆されました。

 質疑応答も含めての総括として、高血糖では命のリスクはないが低血糖では命のリスクがあり、糖尿病患者さんへの運動のやりすぎには十分注意することを促されました。また、長期間臓器が高血糖にさらされることや血糖値の乱高下がリスクになることを教えていただきました。

 

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澤田 誠 先生
澤田 誠 先生

2)AM10:40~12:10

 抑制が働いて思い出せない(思い出せない脳)

 (公社)全日本鍼灸学会認定指定研修C講座

  名古屋大学名誉教授 澤田 誠 先生

 

今回の講義では『抑制が働いて思い出せない(思い出せない脳)』と題して、思い出そうとすればするほど思い出せなくなるのはなぜか。また、選択と集中を担う抑制性の神経伝達の重要性について丁寧にお話いただきました。

中枢神経系のシナプスで最も一般的な2種類の形態タイプはGrayのⅠ型及びⅡ型です。通常、Ⅰ型シナプスは興奮性に働き、Ⅱ型シナプスは抑制性に働きます。

大脳皮質に存在する抑制性神経細胞はバスケット細胞とシャンデリア細胞、マルチノッチ細胞、介在ニューロン標的細胞の4種が存在し、大脳皮質内の神経細胞は興奮性神経細胞に対して抑制性の神経細胞は20%しか存在しません。従って、抑制性神経細胞はシナプスの中枢で働くことに加えて、コラムの中に塊を作り、集団で働くことで効果を効率的に発揮する構造となっています。

ここで、思い出そうとすればするほど思い出せなくなるのはなぜかということで、周辺抑制という仕組みと役割が重要になります。感覚系の中継核ニューロンは複数の入力を統合し刺激情報を形成しており、集団の中央に位置するニューロンが最も強く反応します。中心を強調するために周りに抑制が働いた結果、強く刺激された中継ニューロンと弱く刺激されたものの間の応答差が強調されてしまいます。つまり、生存に重要であるエピソード記憶が強調されて意味記憶を抑制してしまうことで、上手く思い出せないという結果につながります。

記憶の構造は『記銘』の符号化・貯蔵・固定化と、『想起』の4つのプロセスからなっています。この中の『記銘』の段階で抑制性神経細胞の働きにより情報の取捨選択が行われており、抑制系の遺伝子配列の違いにより取捨選択される情報の内容も変化され、個々の行動の判断材料になります。

その他にもうつ病の原因となる機能調整回路の不具合についてなど、質疑応答を通し臨床での疑問に対して分かりやすくお話いただきました。

 

 

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